糖尿病網膜症についてのQ&A
適応検査について
Q |
どの様な検査をしますか? |
一般的な視力、眼圧、細隙灯顕微鏡検査に加えて、特に重要なのは眼底検査(レンズや鏡を用いたり写真撮影したりして眼球の奥を調べる検査)及び蛍光眼底造影検査(造影剤で血管をより詳細に写るようにしてから写真をとる検査)で、これらによって正確な状態をつかみ適切な治療へとつなげることが大切です。これらの検査は瞳孔を広げた状態にしておこないます。散瞳とは薬で瞳孔を開くことで、瞳孔を暗い部屋に入ったときのように開いたままにします。散瞳薬を点眼して20~30分ほど待ち、それから眼底を調べるため、診察は30分~60分くらいかかります。いちど散瞳をするとその後3時間から6時間くらいはまぶしい状態が続きます。室内でも物がぼやけて見えます。眼科へ行く日はなるべく車やバイクの運転を避けるようにしてください。 |
治療について
Q |
治療法の基本は何ですか? |
眼の場合でも最も大切なのは食事療法を中心にした内科的な全身的管理です。眼科的な薬物療法には、末梢循環改善剤、血管強化剤、脂質代謝改善剤などが用いられています。血糖コントロールを少しでも良好に保つことで、細小血管合併症の発症や進展の抑制につながります。 |
Q |
糖尿病網膜症の治療方法は? |
一番初期の「単純網膜症」の時期には、網膜の変化を改善する薬物療法が行われます。次の二番目の「増殖前網膜症」では、まず蛍光眼底造影という検査を行い、治療を行う範囲を決めます。治療はレーザーによる光凝固といわれる方法です。 この方法は、網膜の血液が流れなくなった場所をレーザーで凝固し、新生血管ができるのを抑えようというものです。また、新生血管を直接凝固する場合もあります。レーザー光凝固には、網膜全体の広範囲にわたって行うものと、局所的に行うものの二通りあります。一般には、広範囲に行うことが多く、その場合、1~2週間おきに3~5回に分けて行います。1回の凝固数は300~400発で、総凝固数は1,000~1,500発程度です。三番目の「増殖網膜症」で、出血が少ない場合はレーザー光凝固で病気の進行を抑えます。レーザー治療は、早期であれば80パーセント有効ですが、進行すると有効率が50~60パーセントに低下してしまいます。有効な時期を逃さないことが網膜症の治療のうえで重要なポイントとなります。ただし、あくまでも網膜症の進行を止めるのが目的であり視力回復の手段ではありません。 病気がかなり進行してしまった場合には、硝子体手術を受けることになります。実際に眼の中に器具を入れ、出血している血液を吸い出したり、剥がれた網膜を元に戻したり、再出血や網膜剥離の予防のためレーザーで焼いたりします。しかし、出血が自然に吸収されるものや、新生血管の増殖が停止して視力障害が進行しない場合には、手術をせずにすむこともあります。 |
その他
Q |
日常生活でできる予防法は何ですか? |
糖尿病の場合、網膜症を起こさないことが大切です。そのためには、糖尿病治療の基礎となる食事療法、運動療法に真剣に取り組み、血糖値のコントロールを良好に管理することが第一です。海谷眼科(助信町)では眼糖尿病センターを設置しており、早い時期から糖尿病に対する知識を深め日常生活を改善することで、合併症である網膜症を防止することが可能になります。 しかし、糖尿病網膜症になってしまった場合でも早期発見・早期治療の徹底で失明は避けられます。 |
Q |
糖尿病網膜症の合併症には何がありますか? |
糖尿病になると、網膜症以外にもさまざまな症状が目にあらわれてきます。 以下は、網膜症以外の代表的な糖尿病の目における合併症です。 白内障 体内の糖分が増えるために、水晶体に糖分が蓄積し、これが原因で加齢現象よりも早めに白内障が出て来ることがあります。そのため通常よりも早い年齢で手術を受けなければならない人もいます。 血管新生緑内障 網膜の栄養不足を補う新生血管が目の前のほうに伸びてくると、房水の出口をふさいでしまいます。行き場を失った房水はどんどん量を増し、目がパンパンに張り(眼圧が上昇)、緑内障の状態になります。緑内障では、視神経が高い圧力に負けて死滅するために視野(見える範囲)が狭くなっていきます。 網膜剥離 増殖組織といわれる線維性の膜が出現し、これが網膜を引っ張って網膜剥離(牽引性網膜剥離)を起こすことがあります。 眼筋麻痺 まぶたや目を動かす神経に栄養を与えている血管が詰まると、神経が機能しなくなります。顔面神経麻痺や一方の目が動かない等の症状があらわれます。 |